十二指腸潰瘍（みぞおちの痛み・酸っぱいゲップ）の原因と症状

十二指腸潰瘍とは
十二指腸潰瘍の症状
十二指腸潰瘍の原因
十二指腸潰瘍の検査
十二指腸潰瘍の治療方法
ピロリ菌に感染している場合の治療
苦痛なく内視鏡検査を受けるためのポイント11

十二指腸潰瘍とは

強力な酸性の胃酸や消化酵素によって十二指腸の粘膜が大きなダメージを受け、粘膜の一部が欠損した状態です。
ピロリ菌感染が主な原因で生じ、次いで薬の副作用によって起こることも多くなっています。ストレスや飲酒・喫煙、食生活なども発症や悪化、再発のリスク要因となっています。
再発を繰り返しやすいので、症状が改善しても粘膜の状態が正常に戻るまでしっかり治療を続けましょう。また、ピロリ菌の除菌治療や薬の処方変更、生活習慣の改善など、原因にアプローチした治療も重要です。
症状は幅広く、上腹部痛、胸焼け、吐き気・嘔吐、膨満感、食欲不振などがあり、潰瘍から出血している場合は吐血やタール便(黒く粘り気の強い便)などを生じ、出血が続くと貧血を起こすこともあります。
胃潰瘍では食後に痛みを起こすことが多く、十二指腸潰瘍では空腹時に痛みを起こしやすい傾向があります。
潰瘍はがんによって生じることもあり、その場合も症状は共通していますので胃カメラ検査で確定診断することが重要です。
胃カメラ検査では、潰瘍の状態や範囲を正確に把握でき、出血している場合には止血処置も可能です。また検査中に組織を採取することで病理検査による確定診断や、ピロリ菌感染の有無を確認できます。
ピロリ菌に感染している場合、除菌治療に成功すると潰瘍の再発率を大幅に下げることができます。
なお、胃カメラ検査で十二指腸潰瘍が確認され、ピロリ菌感染陽性の結果が出た場合、除菌治療を2回まで保険適用で受けることができます。

十二指腸潰瘍の症状

みぞおち(上腹部)の痛み・不快感
胸焼け
酸っぱいげっぷ(呑酸)
吐き気・嘔吐
食欲不振
体重減少
吐血
タール便(黒く粘り気の強い便)
貧血症状(立ちくらみ・めまい、動悸・息切れなど)

など

十二指腸潰瘍の原因

主にピロリ菌感染による慢性的な炎症の悪化によって生じ、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)やステロイドなどの副作用として起こることもよくあります。ストレスや食事、喫煙や飲酒といった嗜好品も発症や再発に関与します。

十二指腸潰瘍の検査

造影剤を用いたX線検査が行われることもありますが、確定診断やピロリ菌感染検査のための組織採取や止血処置が必要な場合には別途胃カメラ検査を行う必要があります。
二度手間になり、無駄な被ばくを避けるためにも、最初から胃カメラ検査を受けるようお勧めします。

胃カメラ検査

口や鼻から内視鏡スコープを挿入し、食道・胃・十二指腸の粘膜を直接観察でき、検査中に止血処置や組織採取が可能です。採取した組織は病理検査を行うことで確定診断が可能になり、ピロリ菌感染検査を行うことで感染の有無を確かめることもできます。
潰瘍の範囲や状態を正確に把握できますので、より適切な治療に大きく役立つ検査です。

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十二指腸潰瘍の治療方法

状態に合わせた適切な薬物療法を行って、症状を改善させ、粘膜の状態を正常に戻します。胃酸分泌抑制薬や粘膜を保護する薬などを主に用います。
ピロリ菌に感染している場合には除菌治療が有効ですが、潰瘍の治療をまずは行って状態が改善してから除菌治療を行います。

ピロリ菌に感染している場合の治療

ピロリ菌に感染すると慢性的な炎症や潰瘍を繰り返し、胃がんリスクが高くなることがわかっています。ピロリ菌の除菌治療に成功すると胃炎や潰瘍の再発率を大幅に下げることができ、胃がんリスクも下げることができます。
ただし、除菌治療に成功しても胃がんリスクがゼロにはならず、感染したことがない方と比べるとリスクは高い状態です。リスクに合わせて定期的に胃カメラ検査を受けることで、症状に乏しい胃がんの早期発見につながります。

ピロリ菌について

ピロリ菌の除菌治療

ピロリ菌の除菌治療は、2種類の抗生物質とその効果を高める胃酸分泌抑制薬を1週間、服用するという簡単な治療です。
胃カメラ検査で、慢性胃炎、胃潰瘍・十二指腸潰瘍と診断された場合、除菌治療は2回まで保険診療で受けられます。
耐性菌が存在しますので除菌治療は失敗することがありますが、2回の除菌治療を受けた方の成功率は約95%とされています。
2回目の除菌治療では1種類の抗生物質を別のものに変え、他は同様の治療を行います。